今日の「天職人」は、岐阜県八百津町の「栗金飩(くりきんとん)職人」。(平成20年11月11日掲載)
秋の里山色付けば 旬を求めて旅人が 八百津湊(みなと)に舟を着け 軒を覗いて品定め 物知り顔のご隠居が 八百津が生んだ栗金飩 茶巾絞りの薀蓄(うんちく)を 主相手に釈迦説法
岐阜県八百津町で明治5(1872)年創業の緑屋老舗、五代目栗金飩職人の白木功一さんを訪ねた。

岐阜県八百津町。
木曽川が東西に横たわり、大きく蛇行した川溜まりには、町の南端が突き出し、往時の舟溜まり跡としての名残がわずかに残る。
「大正の始め頃までは、坂を下った湊から舟で犬山へ。そっから電車に乗り換えて、名古屋の明道町や新道まで駄菓子を卸に行ったそうやわ。そんな頃は川舟も300艘ほどあったらしい」。功一さんは、白衣姿で上品な笑みをこぼした。
功一さんは昭和17(1942)年に、3人兄弟の長男として誕生。
「栗金飩は、美濃地方で家が一番初めに作り出したそうやわ。そこの大仙寺のご住職が、度々京都の本山へ出掛けられては、家の先祖に助言して下さり、大正初めには今の栗金飩が誕生しとったらしい。祖父の話によれば、大正時代の中津川には、まだ栗金飩がなかったそうやわ。現に中津川にある老舗の妹さんが、八百津に嫁いで見えて、よう家の栗金飩を買って贔屓にして下さったらしいで」。

昭和35年に高校を卒業すると、父の元で修業を始めた。
「まあ、まずはお一つどうぞ」。

何はともあれ、出来立ての栗金飩を頬張ってみる。
ほっこりとした栗の香りが鼻先を掠め、舌の上で茶巾絞りの栗が跡形も無く崩れ去り、栗のほのかな甘さが広がる。
確かにこれほど素朴で、力みのない栗金飩には、ついぞお目にかかったことが無い。

この美味さの秘訣は?
「近在で採れる栗しか使いませんから。地元の農家50軒で契約栽培し、1年分の25㌧を賄(まかな)ってます。栗の毬が開き、実だけが落ちた分だけ毎日拾い集めて使う、ただそれだけのことやて」。
すべては大地の摂理に委ね、我々はただその恵みに預かるだけ。
「今日入荷した栗は、明日、栗金飩に仕上げるんやて。素材の一番の美味さを損なったらいかんから」。
毎朝4時には、栗を洗って蒸し始める。
そして栗を半分に割り、中から竹べらで実を取り出し、鍋に砂糖を入れてながら30分ほど、煮詰めないように炊き上げる。
「香りが飛ばないように、ほっこり炊くのがこつやわ」。
炊き上がれば茶巾に1個20㌘の割合で取り分け絞れば完成。
1回の作業で約30㌔、それを1日に8~10回も繰り返す。
夕刻までに約7000個。
素朴な秋を彩る絶品が絞り上がれば、我先にと秋を求める客の元へと消えて行く。

功一さんは昭和44年に、美濃加茂市出身の美恵子さんと結ばれ、一男一女を授かった。
「長男がやがて六代目を継いでくれるもんやで」。
創業136年の暖簾と、代々伝え抜いた秘伝の味は安泰だ。

「秋の彼岸が近付くと、『栗金飩まだか?』って待遠しそうなお客さんの顔見るのが、本当に一番なんやて」。
老職人は誇らしげに客を迎えた。
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数年前に偶然、緑屋さんの前を通った事がありますが、余りの行列に買うのを断念⤵️未だにリベンジ出来てない。オカダさんは買いに行った事ある、どう?
ぼくは2度ほど、取材の後から買いに伺ったことがあります。
しかし1回は、TVのロケの待ち時間でしたが!
だ〜い好き! 栗金飩!
熱〜いお茶を飲みながら 少しずつ頂く…
至福のひととき( ◠‿◠ )
お店によって 固さや味が違うんですよね。それがまた楽しかったりして。
栗を使った和菓子は好きだけど 洋菓子のモンブランは苦手。
やっぱり甘さかな⁈(笑)
ええっ、ぼくはモンブランも好きですねぇ!
でも栗は手間がかかるのが難点ですよねぇ。
「天職一芸〜あの日のpoem 297」
「栗金飩職人」
夏のような日差しの秋に伺いました。
懐かしいです。いつもは横並びですけれども今年はソーシャルディスタンスで縦に並んででした。待ち時間に「栗お届けにあがりました」と声をかけてみえたので驚きました。わたしは緑屋さんの
栗きんとんが大好きです。
本当に美味しくって、ついついもう一つって手が出ちゃいますものねぇ。
今晩は。
・栗きんとん職人さんのお話ですね。
・私は、栗きんとん大好きです。栗きんとんは、自分へのご褒美ですね。
・私は、中津川で作った栗きんとん2個入りを、売店で買って食べました。
(味)丁度良い甘さでした。 美味しかったです。
・栗入りのどら焼きを、食べました。美味しかったです。(栗きんとんが、入っていたかも知れません。)
・(写真)栗きんとん美味しそうですね。