今日の「天職人」は、岐阜県郡上市八幡町の「肉桂(にっけい)玉職人」。(平成二十年一月二十二日毎日新聞掲載)
回覧板を抱え持ち 母のお遣い妹と 角の大きなお屋敷を 目指して駆けた雪の中 「あらまあこれはご苦労さん」 ご隠居さんは駄賃にと 丸い缶蓋取り外し 懐紙に包(くる)む肉桂(ニッキ)玉
岐阜県郡上市八幡町本町の肉桂玉職人の田口大介さんを訪ねた。

漆喰土蔵に囲まれた石畳の坂下から、宗祇水と呼ばれる湧き水の清らかな水音が出迎える。

真夏の徹夜踊りで知られる昔屋並みが続く一角。
「明治20(1887)年の創業当事は、大間見屋と書いた屋号やったんですが、昭和の始めに祖父が創業家から買い取って『大』を『桜』に代えてそれ以来、肉桂玉の『桜間見屋(おうまみや)』となって私で六代目です」。大介さんは、作業場の奥へと導いた。
120年の年月に染み付いた、ニッキの香りが店の端々から漂う。
大介さんは三人兄妹の長男として、昭和37(1962)年に誕生。
高校を出ると直ぐ、高山市の飴屋で住み込み修業へ。
「同じ飴屋って言っても、細工物が中心で。20人程の職人に混じって、一から教わりました」。
2年間の修業の後、郷里に戻り家業の肉桂玉作りに従事した。
昭和62(1987)年、友人の紹介で美加子さんと結ばれ一女が誕生。
「今は名古屋で勉強してますが、ゆくゆくは婿さんもらって七代目継いでもらえるとええんやけどなぁ」。
桜間見屋の肉桂玉は、白と黒の二種類。

ザラメの白と、黒砂糖の黒。
「普通の肉桂玉はグラニュー糖を使うんですが、家のは後味がさっぱりするザラメを使ってます。だからグラニュー糖に比べて作り難いんですが、その分口の中で溶け難く長持ちするんやて」。
肉桂玉は真鍮釜にザラメと、それが溶け切るギリギリの分量だけ水を入れ、一煮立ちさせ火を止め少量の水飴を入れる。
「普通は一対一の割合ですが、家の場合水飴を極端に少なくして、飴の表面を溶け難くするんやって」。
真空釜で余分な水分を飛ばし、冷却板に流し込み肉桂の原料液を注ぎ入れる。
「飴を折り曲げながら、香りを満遍なく付けるのが肝心やて」。
ある程度固まってきたら細く伸ばし、球断機にかけて丸める。

「型の悪い物や、玉の中に空気が入ってしまったものを識別し、表面にグラニュー糖を塗(まぶ)せば完成やわ」。
郡上踊りの夏場から秋の紅葉シーズンは、観光客で賑わい最盛期を迎える。
毎日この作業を繰り返し、150~200㎏の肉桂玉を製造。
「肉桂はクスノキ科で、樹皮を剥ぎ取って乾燥させたもの。でも日本の肉桂は根っこの部分にしか辛味が無く皮は使えんのやて。それで家のは、味と香りがどこのよりも優れとる、中国原産のカシアを使っとるんやわ」。
大介さんが出来たての肉桂玉を差し出した。
口に頬張ると、表面のザラザラしたグラニュー糖がさっと溶け去り、中からほんのりとニッキの香りが口中を支配する。
懐かしくもエキゾチックな芳香に包まれ、心なしか身体全体が癒されてゆくようだ。
添加物など一切無い、天然色に輝く一粒の肉桂玉。
我が身は至福の甘さとしばしたゆたう。
このブログのコメント欄には、皆様に開示しても良いコメントをドンドンご掲示いただき、またその他のメッセージにつきましては、minoruokadahitoristudio@gmail.comへメールをいただければ幸いです。
おはようございます。
・肉桂(にっけい)職人のお話ですね。
・私は、肉桂の飴は、食べません。
肉桂の飴は、手作りなのですね。
・飴は、専門店では買いません。
・飴は、果物か蜂蜜の飴を、舐めます。
(龍角散ののど飴,ヴィックスののど飴等を、舐めます。)
桜間見屋さんの肉桂飴、美味しいですよねぇ。辛味がたまらん⤴️黒糖好きだから、どちらかと言うと黒肉桂の方が好きかなぁ。
ぼくも黒砂糖のあの独特な風味が大好きです。
ニッキ飴
懐かしですねぇ!
ニッキと言えば
子供の頃、夏になると、カラフルな色をしたニッキ味の寒天
よく食べました!
あ~~ぁ⤴
子供の頃に戻りたいなぁ~~
夢の実現に向けて
もっと勉強して・・末は博士か?大臣か?なんてぇ!
今となっては、ただの普通のオジサン・・
まぁ~⤴普通が一番難しいかもねぇ!
ニッキ味のストローに入った寒天!
ありましたねぇ。
でも子どもの頃のぼくは、ニッキ味と香りも、それに寒天が苦手で、中々手が出ませんでしたぁ。
ニッキの香りや味 好きだわ〜。
小さい頃 母の故郷の熊本に帰った時 叔父さんがニッキの細い根っこをくれたので ガジガジっとかじってみると 辛くはないけど ちょっと生姜のような味がして 口の中が爽やかな感じになって 子供ながらに好きな味でした。
覚えてる覚えてる(笑)
紅茶の中に入ったシナモンスティックを、どうするものかもわからず、ストローの代わりなのかと思って、吸ってみた恥ずかしい若かりし日がありました。
ブログの写真を見て、懐かしく嬉しくなりました!
短い間でしたが、平成になった頃、郡上に住んでいました★
ここのお店にもお邪魔したことがあります!
(^o^)
お土産に白黒の肉桂玉をたくさん買いました!久々に食べてみたくなりました♪
宗祇水の所にも行きました!
落ち着いた風情のある佇まいでした。
コロナウイルスが感染の第3波になりつつあるようで、増えてきました。
ウイルスが乾燥に良くないと言われているので、加湿器をつけました★
それと、しっかり換気もしたいと思います!
子どもの頃は、肉桂玉ってちょっとエキゾチックな感じがして苦手でしたが、大人になると不思議と美味しくなっていたものです。
コロナになんとか負けないで、皆様が健やかでありますように(祈)
読みたくて待っていた桜間見屋さんの記事アップありがとうございます!
田口さんも長く務めていた観光協会長を今年から吉田屋の棚橋さんに交代し長年お疲れ様だったと思います、地域の観光にも熱心な方ですね。
やはり郡上八幡のお土産といえば肉桂玉、東京に出張に行く時は必ずお土産に持って行って喜ばれていました。
何より日持ちがして、デスクの上に缶ごと置いておいて、ちょっと気晴らしに一つ口に頬張るにゃあ、持って来いの逸品ですよねぇ。
口に含んだ時の何とも言えない清涼感とその後の甘さ、イライラした気分も一気に吹き飛ばしてくれる清涼剤にもなりますよね!
インバウンドの人にもすごく好評です
まあ、和風シナモンキャンディーってなところでしょうか???
だいちゃんちの 肉桂飴ですね~
(*^-^*)
小学校に入りたての頃 両親が美味しそうに食べていたのを見て 私も 「 パクっ! 」 直ぐに「 からーい! 」と 吐き出した事を姉から 聞いた事がありました。
幼少の頃 我が家には、桜間見屋さんの空きカンの中に つり銭 1円玉 5円玉 10円玉 が入っていて 時々 父親がこの空きカンの中から「 おだちん 」を くれた私にとって特別な缶でした (^_^)v
そうでしたかぁ!
空き缶のお駄賃!
いい思い出ですねぇ。