今日の「天職人」は、岐阜県岐阜市の「渋団扇(しぶうちわ)職人」。(平成十六年十一月十三日毎日新聞掲載)
豆炭炙り夕餉の支度 母の手伝い任せとけ ビュッと唸る北風の笛 負けじと団扇煽ぐだけ チリチリチリと音立てながら 熾(おこ)りて色を赤く染め 豆炭一つ小さき暖に 心ほっこり癒される
岐阜県岐阜市の住井冨次郎商店、四代目の渋団扇職人、住井一成さんを訪ねた。

「まあ戸板一枚だけで、何とかこの世に浮かんで、凌(しの)いどるだけやて」。一成さんが刷毛を持つ手を止めた。
京都出身の曽祖父は、深草団扇の職人だった。明治末期、揖斐を経由して京の職人が、この地に移り住んだ。豊な竹と美濃和紙に恵まれ、提灯・蛇目傘職人が、材を求めるには最適だった。
腰のある美濃和紙は、団扇に強度を与え、柿渋が防水効果を高める。その昔、どんな破れ団扇(やれうちわ)であっても、台所の火熾しには欠かせない必需品だった。

「祖父の時代は、家で竹を割いとったんやて」。しかし今は、山裾の竹林が宅地に変わり果て、四国の真竹で竹骨に加工された材を求める。「川沿いの竹は、色が枯れてまうし、風に虐(いじ)められた竹でないと、粘りが出んのやて。それに暑過ぎた年の竹は、成長が早いで人間でいう骨粗鬆症(こつそしょうしょう)みたいに、中身がサクサクんなっちまうで」。一成さんは、竹を擬人化した。
作業はまず、竹骨への柄塗りと紙巻き。次にささくれを取り、柄の上に弧を描く弓の糸幅を決める。試し台と呼ぶ作業台には、団扇の横幅を決める溝が。それに合わせ弓の幅を一定に保つ。
そして図柄を抜いた伊勢型紙で美濃和紙に手刷りし、麩糊で貼り込む。続いて馬蹄形の鋼の型抜きで骨を裁ち、団扇の形を整える。仕上げに縁紙を貼り、柄の付け根を大山と呼ぶ扇型の紙で補強。弓の糸尻を小山で補強し柿渋を塗り込む。

「臭っせえなあ!お前んち、医者かなんかか?」。一成さんは子供の頃、仲間から冷やかされた。漆や柿渋の匂いが、何時の間にか服に染み込んでいたからだ。「でもこれが生まれた時から、家の匂いやったで。『ただいま』って帰れば、祖父と父母がこの作業場に座して、『お帰り』って言うんやで」。一成さんはそう言って、遠くを見つめた。
大学を出て就職をするものの、父の他界を境に家業へ。母に付いて三年の修業。二十八歳で妻を得、一男一女をもうけた。
「自分と同じやて。ランドセル背負って子供らが帰ってきては、作業場で邪魔するんやで」。 子の成長に、遠き日の自分を透かし見る、渋団扇職人。
七輪を団扇で炙りながら「お帰り」。不意に遠くで母の声がしたようだ。
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こんにちは。
渋団扇(うちわ)職人のお話ですね。
渋団扇職人さんが見えた事知りませんでした。
ブログを、見て勉強になりました。
渋団扇は、職人さんの手作りですね。
手間がかかりますね。
(写真)渋団扇綺麗ですね。
昔は、台所の火熾しには欠かせない必需品だったのですね。
私は、実際に渋団扇を、見ました事有りません。
扇子は買った事があっても団扇は無いかも。でも、我が家には沢山の団扇が有ります。KINCHOでしょ、髙島屋でしょ、かねふくでしょ、それにぎふチャン。みんな貰い物(笑)
確かに団扇は、広告宣伝に昔からよく使われてましたものねぇ!
しかしプラスチックの骨には、ちと風情が・・・。
なぁ~んて、ただでいただいて文句言っちゃあいけませんねぇ。
まぁ!なんて趣きのあるお店。
だ〜い好き( ◠‿◠ )
渋団扇のツヤ感や形も珍しくて 仰いでみたいですね。
しなり具合もいい感じでしょうね⁈
団扇って夏以外では あまり使う機会がないけど 唯一ちらし寿司を作る時に使うかな。左手を添えてパタパタと。
寿司飯もツヤが出るんですよね〜
そうそう、扇風機の一定の風量の風とは違って、手で扇ぐ揺らぎが美味しさを引き立てるんでしょうねぇ。
4年程前の結婚記念日に
岐阜長良川にあります、
岐阜都ホテルで、私の大好きな「ランチバイキング」へ食事に行きました。
ホテルにあったお土産屋さんを覗いたら、CMが入ってない、ちゃんとした、
「岐阜長良川」と書いてある!真面目な「岐阜団扇」を買いました。
中々オシャレで速攻で買いました。
でも、オカダさん!
自分で言うのもなんですが!
結婚記念日に食事に行くなんて、ちゃんとしているねぇ!
勿論!誕生日もねぇ!
偉いね~ぇ!
まぁ偉いのは、奥方様だよねぇ!
出た‼
お久しぶり、ぶりの1ヶ月振りです。
自粛が少しずつ解除されたのはいいのですが、行きたい所は沢山あるのに、行かなければならない所は特に無く、どのタイミングでお出かけしようかと思案中。
キリンビール工場見学、いいですねぇ。
行く度にリニューアルされているので、何回行っても楽しい場所です。
冷えたグラスにビール三杯、プッハァ!
だれぇ⤴️「ビールが飲みたいだけでしょ」って言ってるのは?
いいえっ!だぁれも言ってませんよ!
だってそんなの、皆様既にご存知のはず!(ワッハッハッハ)
鵜飼の乗船場近くに行くと 何処からかいい香りがしてきますよ ☆ (^-^ゞ
初めてお店に伺った時も 優しい笑顔の店主が 対応してくださった事を覚えています。
息子の結婚式等々進める前に お相手のご両親との 「 顔合わせ 」
岐阜団扇を手土産にしました。
ご両親はとても気にいってくださり、
その後 海外のお友達にもプレゼントなさったと聞きました (#^.^#)
その後 初孫が7月に生まれ ワクワクしながら 病院に行く時も 水団扇を 持って行き 生後4日目の孫に 水団扇で扇いであげたり 岐阜団扇 は 思い出がいっぱいです ☆ |^▽^)ノ
長良川では 今夜 サプライズの ♪ 夏花火♪が打ち上げられましたよ~ ★♪♪★♪♪♪
あらまぁ!
全国各地で行われていると言う、悪疫退散の花火なんですかね!
やっぱり、鰻屋で煽っているうちわを思い浮かべますが、高尚な岐阜団扇で煽ってまうと風流でええなあと思い、余計に鰻が美味しく思えます。
炭を団扇で炙って、焔がメラメラと立ち上って、串を打たれた鰻にまとわりつく姿を見るだけで、口の中に大量の唾が湧き出て来ちゃいますもの。
高級な岐阜団扇じゃあ、ちょっともったいない気がしちゃいますねーっ。