今日の「天職人」は、名古屋市昭和区の「染み抜き師」。
心の渇きで眠れぬ夜は 寝酒に君の面影浮かぶ 星の雫が頬を伝えば 叶わぬ想いは闇を渡る 心に染みた涙の痕は 誰にも消せるわけじゃない 微かに明日を燈す君の 小さな約束あればいい
名古屋市昭和区の染み抜き師、二代目の青木昇さんを訪ねた。

「顔の染みと、心の染みだけは、よう取らんでな」。昇さんは冗談めかしてつぶやき、霧吹きを口に咥えて、着物の裾に噴き掛けた。
六畳一間の作業場には、四つの座卓が置かれ、それぞれに天井から蛍光灯が長く吊り下がっている。
昇さんは男四人兄弟の次男として誕生。ちなみに長男と三男は紋付け師。昇さんと四男が染み抜き師として、男兄弟四人が狭い作業場で黙々と技を揮う。「まあ紋付けと染み抜きは、合わせ鏡みたいな関係だて。だって紋付けをうっかり間違ってみい、えらいこっちゃ。まあいっぺん元に戻さなかん。そんだで染み抜きの技術も磨かれたんだて」。
昇さんは高校を出ると、先代が修業した老舗に住み込み、修業に励んだ。当時初任給の相場は、一万三千円。しかしそこは修行の身。食住付きで三千円の奉公だった。五年の修業を終え、幼馴染の美代子さんを妻に迎え、二人の娘の父親に。
「大阪万博の頃までは、まんだ着物を着る人も多て、紋付け染み抜きも忙しい時代だったわ」。しかしその後は、着物から洋装全盛の時代へと。

「襟や袖口は食べこぼし。後ろは月の物。特に女の人は『胸(だき)』って言って、乳房んとこに汗染みが出来る。肉眼で見ても見ええへんけど、霧を噴き掛けたると汚れに反応して染みが泣く(滲む)んだて。でもボールペンのインクみたいな油性のもんは泣かん。染みも時代と共に変わってまったって。この頃は化学薬品の染みが多いで手間も掛かるって。まるで探偵の謎解きのように、あれやこれやと知恵絞って、染みを取ってくんだて」。

水にアンモニアを一~二滴落とし霧を噴き付け、棕櫚のポンポン刷毛で染みを叩き出し、晒しを当て汚れを移し取り、熱した鏝の上で乾かす。柄の上の染みを抜くと、柄そのものも色が落ちる。落としてしまった柄には、マッチ棒の先を削り、染料を付けて染め直す。
「お客に『手間賃三千円です』って言ったら、『何でや、一分もかかっとらんがや』って訝(いぶか)るもんだで、『いいえ!わしの手間は、三十九年と一分かかってます』ってゆうたるんだわ」。確かにその言葉は、昇さんの道具が物語る。修業当時長さが十二㎝もあったポンポン刷毛は、わずか三㎝に。十五㎝あった象牙のヘラも四㎝だ。

「染みは怒らせたら終いや」。小さな染みの感情さえも読み取る。誤魔化し美学こそが、一端の染み抜き師の証なのだ。
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おはようございます。
染み抜き師のお話ですね。
・青木さん 服,着物の染み抜きが、出来てすごいですね。家で服等の染みが、有ったら取れますね。
・ボールペン(油性等)のインクは、服に付くと中々取れませんね。後が残りますね。
・私は、実際に染み抜き師さんのお仕事を、実際に見た事有りません。
・染み抜きで、思い出しました。
私は、クリーニング屋さんのオプションで、染み抜きコースを、頼んだ事が有ります。
クリーニング屋さんに、基本料金400円~500円+1080円払いました。
(ブラウスのクリーニングを、頼んだ事有ります。ブラウスを、取りに行きました。染み抜きコースすごかったです。染みが綺麗に取れていました。自分が、きずかなかった所の染みも取れていました。)
※ 着物の染み抜き!
細かい手作業や経験の積み重ね
とっても大変なお仕事ですよね ☆☆☆
私も アパレルの仕事を長年していたので、試着中に付いてしまったファンデーションや口紅の染み抜きを 何百着も 専用のスプレーや 筆、 布を 使い分け 出来る限りの事をして、販売店やお客様にお戻し していました。
綺麗に落ちる時ばかりではなく、どうしても無理な時は やっぱり 専門業者さんに お願いしましたもんね Σ(×_×;)!
今でも 息子家族の服のシミ抜きやお直しは よーく頼まれます (^-^ゞ
でも 着物だけは 薬が違うのか?
自分では何ともなりませんね~
母が 着物の襟やシミを 脱脂綿にベンジンをつけ 拭いていた頃が懐かしいし あのベンジンの 匂いも独特でしたよね ‼️‼️‼️
ベンジンの染み抜きって、家のお母ちゃんもやってましたねぇ。
ベンジンの香りを嗅ぐと、ハッキンカイロをついつい思い出してしまいます。
やはり昭和の時代
どこのお母さんも染み抜きしてましたねぇ⤴
うちのお袋も冠婚葬祭があった、
あくる日は、脱脂綿、片手にせっせと染み抜きしていました。
わたしも、顔の染み抜きして貰って、序に腹黒のぐろ~~いシミも抜いて貰えば
きっと、エエ男になると思うんだけどなぁ~~⤴「
ああああ、ちょっともう手遅れなんじゃあ???
「染みは怒らせたら終いや!」
その意味 よ〜くわかります(笑)
衣類の染みも心の染みも…
全てにおいて早く手を打つ事が大切。
私の母も昔 着物の衿辺りをてるてる坊主みたいな物でトントン叩いてました。
私は染みで思い出すのが 小学校時代に習字の授業のあと 制服の白いブラウスに点々と付いた墨です。
帰宅後 ご飯粒を染みに擦り付けて必死できれいにしてました。すぐにばれちゃいますけどね!(笑)
今は 専用の洗剤があるので楽ですよね〜。
そう言えば、ぼくの体操シューズの真っ黒な汚れ!
確か記憶では、白墨をこすりつけて、それを洗って真っ白にしていた気がいたしますが・・・。
果たして???なんせ遠い遠い記憶ですから!