今日の「天職人」は、愛知県田原市の「潜水夫」。
人は海から来たのだろうか 海の中に潜るたびそう感じてた 進化の記憶などあるはずも無い なのに身体は何かを感じてる 母の胎内(おなか)で浮遊した記憶の欠片 遠くで優しい声がした至福の時 海の闇も不思議なほど怖くない いつも母さんが側に居る様で
愛知県田原市赤羽根町の潜水夫、松本成広さんを訪ねた。

「行って来る」。全身黒のドライスーツに身を包んだ男は、船上の息子にそう一言告げると、藍よりも深い海の闇へと吸い込まれていった。それが成広さんだ。
成広さんは、海から遠く隔たった京都の街中で、中学を出るまで過ごした。「岡山の叔父が、韓国産のサザエやアワビを輸入して、生簀で生かしとったんやけど、ようけえ桟橋の下とかにも落っこちとってな。それを素潜りで拾うのが、あの頃の生き甲斐やった」。
そして叔父から父親を説き伏せてもらい、十七歳の年に潜水会社に助手として入社。酸素ボンベの代わりに、潜水夫に空気を送るフーカーホースの介添えを続け、三ヵ月後には潜水免許を取得した。
それからは鳴門大橋の下部工事、対馬、長崎の大村湾、渥美半島と各地の海中を巡った。

水深十メートル以内で一日八時間。五十メートルなら一日一時間の潜水時間となる。「海の中にはトイレがないでな。朝は水分控えとかんと、えらいこっちゃ」。
十九歳の年にフリーダイバーとして独立。翌年、岡山県出身の佐久美さんと結ばれ、三人の子に恵まれた。「まぁ、現地調達みたいなもん」。佐久美さんが照れ臭そうに笑った。
昭和59(1984)年から三年間、二十世紀最長となった瀬戸大橋建設では、橋桁の基礎となる海中六十八メートルでの下部工事にも携わった。「毎分十メートルずつしか浮上したらかんのやで、命懸けやわなぁ」。その頃から年々赤羽根町での仕事が増え、昭和63年頃には、年の内十カ月も赤羽に出張する有様に。一家は平成元年十二月に、岡山からの移住を決意した。

「熊野灘の水深十五メートルんとこで、いっぺんフーカーホースが抜けてもうてなぁ。二十キロのウエイト外して緊急浮上したこともあったわ。それとか体長一.五メートルほどのハンマーシャークに遭遇したこともあったし」。成広さんは潮焼けた顔を綻ばせた。

危険と背中合わせの仕事故、さぞや妻も心配であろうと水を向けた。すると「父も潜水夫だったんだけど、あんまり仕事の事はよう知らんし。最初の頃は、傘でも差して潜っとんやろと思ってたくらい」。佐久美さんが屈託なく笑った。「まぁ、空気の無い場所で仕事しとるでねぇ」。夫が苦笑い。
今は船上に次男が乗り込み、命綱であるフーカーホースを巧みに操る。海中から日本を支える、潜水夫の父を夢見て。
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このいでたちは、昔のSF映画をほうふつさせますねえ。サンダーバード!スティングレー!
相当の重装備ですから、重たいそうですよ!
おはようございます。
・潜水師のお話ですね。
・潜水師さんのお仕事 勉強になりますね。
・松本さん 命懸けのお仕事ですね。
生きて帰って来れるか分からないですね。 命綱が、無いと危ないですね。
次男さんが、命綱(フーカーホース)を、操っているのですね。家業のお手伝いを、しているのですね。奥様も心配ですね。
我が家のお嫁さん、高校は進学校に入学したものの、”海が好き‼”って言う事で、どうやら水産高校に編入したらしいのです。今は、ダイバーの資格も持っているみたいですが、その姿を今だ目にした事は有りません。
しかし、夏になると真っ黒に日焼けした姿で現れます(๑´ڡ`๑)
お嫁さんにとっては、周りの方が「これぞおなごにとって真っ当な道故、この道を突き進むがよい」と、どんなに平均的で安全そうななだらかな道を教えてくださったにしても、自分らしい道がきっとあるはずと、動物的な勘だけを頼りに、海へと一歩一歩近付かれたのでしょうね。
きっと夏の日焼けの跡は、ご自身の魂の在処を証明する、浮世の通行手形のようなものでは?
海の中!
神秘的で興味があるけど、怖い!やはり地に足がついていないと⤴
せいぜいシューノケリングで水面をプカプカしているのが一番!
海と言えば「フカヒレ」「キャビア」一度食べてみたい
飛行機「ファーストクラス」に乗れば「キャビア」食べ放題って
以前、TVでやっていたけど本当かなぁ~?
じゃぁ~ファーストクラスに乗るかぁ?
よぉ~考えたら「キャビア」買った方が安いわぁ~⤴
確かに「キャビア」買った方が手っ取り早いでしょうな!
いくらキャビアが食べ放題って言っても、コレステロールが気になりそうでっせ!
ぼくは、筋子とかの方がまったりして美味しく感じられますが・・・。
命懸けのお仕事…
それも自ら飛び込んだお仕事。
想像するだけで胸がキュッとなります。
どうか どうか この方の元に明るい日差しが差し込みますように。
人も色々なら、その人の天職もこれまた然りでしょうねぇ。