「素描漫遊譚」
「岐阜市駅伝コース界隈」
今回の「素描漫遊譚」は、「全日本実業団対抗女子駅伝」を控える岐阜市界隈へ。
アスリートの集う長良川競技場から金華橋を経て、市内中心部へと。6区間42.195㌔のコースで、日本一を競う。
神はどんなドラマを、用意していると言うのか?
運動音痴でマラソンが大の苦手だったぼくは、典型的な無知だったと想う。
でも草野球だけは、三度の飯より大好きでたまらなかったから不思議だけど。だからスポーツに関する専門用語なんて、まったくチンプンカンプン。
覚える気もさらさらなかった。
ある日の小学校の学び舎。
担任の先生が「エキデン競争」を話題に取り上げた。

運動会が間近に迫り、いつでも腹ペコのぼくらは、「パン喰い競争」への出場を嬉々として狙っていた。

そんな折に「エキデン競争」のお話。
おかげでぼくの思考力は、脳下垂体を一気に駆け下り、どうやら胃袋の辺りに居場所を換えてしまっていたのかも知れない。
たぶん先生は、運動会を前にリレーのチームワークの大切さとかを、お話になっていたのだろう。
先生の話を聞きながら、「エキデン競争」の大きな流れは理解できた。
でも何時まで経っても先生は、肝心なことを話してくれない。
『何でだろう?』
『肝心な部分は?』
『いったいどうやって?』
『どこで?』
『どんな状態で競い合い、次の区間を走りぬくんだろう?』
『それって途中でお腹が痛くなったりしないんだろうか?』
やたらと余計な心配ばかりが押し寄せる。
もう既にぼくの欲求は、沸点へと達しつつあった。
「何か質問あるか?」。
先生のその一言を待ち侘びていたように、ぼくは大きな声で「先生!ハイッ!」と、真っ直ぐ手を上げた。
皆がぼくに注目した。
運動音痴のぼくが、まさか質問するなんて。
どうせそんな風に、皆がぼくを見ているに違いない。
顔が紅潮するのに気付いた。
「ハイッ!じゃあ岡田くん!」。
ついに来た!この瞬間が!
でもどうしても、自分自身で確かめぬわけにはいかぬ!
「先生!ところで駅弁って、6区間とも別々の名物弁当とかが出るんですか?それに選手は、襷を受け取ってから何処で食べるんですか?立ってですか?それってお行儀悪いから、それとも座って?でも食べて直ぐに走って、お腹痛くなる選手っていないんですか?」。

ぼくは心にしこっていた、すべての疑問を矢継ぎ早に吐き出した。
あたりは水を打った静けさ。
ぼくは内心『勝った!』と思った。
しかし5秒もしないうちに、その奢りは打ち砕かれた。
「岡田くん。それって『駅弁』でしょう?何で『駅伝競走』で『駅弁』食べることになっちゃうわけ?」。
教室中、堰を切ったような笑いの洪水に溢れかえった。
どうやら今想うと、それ以来ぼくのマラソン出場嫌いは、一気に加速した気がする。
さあそれでは、アスリートたちが42.195㌔のドラマを演じる、岐阜市界隈を、一足お先にのんびりと漫ろ歩いてまいりましょう。
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「全日本実業団対抗女子駅伝」
岐阜で開催される事はなくなってしまいましたが
一度、見に行った事がありますが・・
凄い!とにかく早い!アッという間でした。
普通の人が徒競走をする速さでビックリした事を忘れません ❢
一流の選手は違うもんです。
私も昔は「逃げ足」だけは誰にも負けませんでしたよぉ⤴
凄いやろ~ぉ⤴
足が速い方って羨ましい限りです。
ぼくなんてちょっと走り出すとすぐに喘いじゃって!
緊急時には、心配なほどです!