毎日新聞「くりぱる」2004.9.25特集掲載②

素描(スケッチ)漫遊(まんゆう)(たん)

「まいど市」

しんみち商店街は、空襲で焼けるまで(くるわ)として栄えた。

もう当時の面影は何処にもないが、戦後間も無く再建された料亭に、遊郭(ゆうかく)欠片(かけら)が偲ばれる程度だ。

写真は参考

既に廃業してしまった料亭前には、段ボール箱を陳列台代わりに、伊勢たくあんや古代米の餅が所狭しと並ぶ。

月の初めの第一土曜日に、近くの農家から産直野菜や干物類、それに漬物などが運び込まれ、「まいど市」と称してお手頃価格で販売される。

写真は参考

「いつもは主人が市に立つんやけど、稲刈りが忙しいて」。

S商店・K.Sさん(47)と娘のRさん(20)が、慣れぬ手付きで使い込まれた一斗缶の金庫から釣銭を探り出す。

「伊勢たくあんは、濃い味でうまいんやさ。柿の葉や昆布を入れて、2年間漬け込んだるでな」。

ちょっぴり甘たるい、たくあんの香りを秋風が運んできた。

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投稿者: okadaminoru

1957年名古屋市生まれ。名古屋在住。 岐阜県飛騨市観光プロモーション大使、しがない物書き、時代遅れのシンガーソングライター。趣味は、冷蔵庫の残り物で編み出す、究極のエコ「残り物クッキング」。 <著書> 「カカポのてがみ(毎日新聞社刊)」「百人の天職一芸(風媒社刊)」「東海の天職一芸(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸2(ゆいぽおと刊)」「東海の天職一芸3(ゆいぽおと刊)」「長良川鉄道ゆるり旅(ゆいぽおと刊)」

「毎日新聞「くりぱる」2004.9.25特集掲載②」への6件のフィードバック

  1. 平日のある日・・
    高山へ行って来ました。
    なるほど、平日はこんなに人が居ないのか ❕
    昼時になったので「高山ラーメン」でも食べようと
    人気のラーメン屋さんなのか?4~5人の行列が・・
    メニューは一種類だけで醤油味のちぢれ麺
    美味しかったんですが、ちょっと味が濃い
    でぇ❢お客さんと店主の会話・・
    店主「今日は何処から来てんですか?」
    お客さん「富山から」
    店主「近くてイイよねぇ⤴又、来て下さい」
    私は思いました、岐阜市内に住んで居ると
    富山が近いとは思わないな~~ぁ⤴と!
    まぁ~⤴
    高山の人は名古屋が近いとは思わないんだろうけどねぇ

    1. そりゃあそうですよねぇ。
      確かに、ほんのひと山越えって感じなんでしょうねぇ。
      だから高山などの飛騨地方の方と、富山県の南部の方とでは、文化的にも似通ったものがあるんでしょうねぇ。
      そう言えば高山の方々は、富山まで海水浴に出掛けられるそうですものねぇ。
      高山や古川に出掛けたいものだなぁー!

  2. 静まり返ったアーケード街に
    なんだか凛とした美しささえ感じられます。
    頑張っていた おじさん おばさんの姿が見えてきそうですね。

    1. 人々の息遣いのようなものが、宿っているのかも知れないですねぇ。
      耳をそばだてたら、当時の人々の話し声が聞こえてきそうな、そんな気になっちゃうのも不思議ですねぇ。

  3. お漬物は何でもだぁ〜い好き⤴️
    たくあんを噛んだ時の脳に響く音がいいよねぇ。あ〜、お茶漬けが食べたくなって来た。

    1. お母ちゃんが糠床で漬けていた、キュウリやナスの糠漬けを、もう一度食べたくなってきちゃいました。
      でも詮無いかな、それは記憶の中でしかもう味わえませんが・・・。

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